ふらっと入った横浜山手の西洋館・234番館のギャラリーで、懐かしい少女漫画の原画の展示会が催されていた。
60年代~70年代にかけて、「週間マーガレット」や「りぼん」に連載されていた原画の展示に加え、現在、趣味で行っている作品(愛犬の手作り服や編み物など)の展示もあった。その漫画家たちは今では60歳前後となっている。
受付にいた女性に「この展示会の主催は出版社なのですか」と聞くと「いいえ、今でも連絡を取り合っている私たちが企画したものです」とこたえた。
「ということは、漫画をお描きになっていたんですね。どちらの作品ですか」とたずねると「これです」と案内されたところには、大きな目の少女の原画が飾ってあった。川上則子と名前があった。
当時の少女漫画独特の絵に「ああ、懐かしい」と思わず声が出てしまうほど。描かれた少女の目にはたくさんの星、きりっとした品のよい顔立ち、ハツラツとしたのびやかな肢体、その華やかさを見ているだけで夢見心地になったことを思い出す。
一緒に展示されていた志賀君江が特に懐かしかった。卓球漫画「スマッシュをきめろ!」は夢中になって読んだ一つ。
案内して下さった川上さんにかねてから疑問に思っていたことを伺った。
「どうやって描くのだろうと思っていたことなのですが、こういう動きというかポーズというか、とても自然に描かれていますけど、どのようにお描きになるんですか」描けるから漫画家になったのだと思うけど、素人の私からみたらとても不思議なこと。
「特に何もなく、感覚で描いています」
「感覚でこんなにバランスよく描けるんですか」と驚嘆すると
「バランスよくというか、ちょっとバランスが悪い方がいいんです。動きが出て。バランスをよくしようとして修正すると、かえって動きが硬くなってしまうんです」
修正するとかえって硬くなる、というこの話は、創り出していく大方の「もの」に通じている気がした。
例えば、油絵の洋画だとか、小説の文章だとか、公演の話だとか。
修正し過ぎるとかえってぎこちなくなり、自然さがなくなる。修正し過ぎはよくない。ただし、忘れてはならないのは、きちんと土台ができていること。土台がきちんとしているからこそ、敢えて修正しないところが生きてくる。
と、いろいろと気づかされた漫画の展示会だった。
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